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🦴整形外科

変形性膝関節症

へんけいせいひざかんせつしょう

膝関節の軟骨がすり減り痛みや変形を起こす疾患

変形性膝関節症看護人工関節リハビリ

疾患の概要

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、骨が変形することで、痛みや機能障害を引き起こす慢性進行性の疾患です。病態生理としては、関節軟骨の変性・摩耗が初期に起こり、軟骨下骨の硬化、骨棘形成、滑膜炎などが進行します。これにより、関節の炎症や破壊が進み、関節の動きが悪くなります。主な原因は、加齢による軟骨の劣化、肥満による膝への過剰な負荷、O脚・X脚などのアライメント異常、過去の膝の怪我(半月板損傷、靭帯損傷など)、遺伝的要因などが挙げられます。主な症状は、膝の痛み(特に動作時や階段昇降時)、こわばり(特に朝起きた時)、関節の腫れ、関節可動域の制限、きしみ音(クリック音)、O脚変形などです。進行すると安静時痛や夜間痛も出現し、日常生活動作(ADL)が著しく障害されます。診断には、問診で症状の経過や痛みの特徴を確認し、身体診察で圧痛、可動域、膝の変形などを評価します。画像検査として、X線検査が最も重要で、関節裂隙の狭小化、骨棘形成、軟骨下骨の硬化像を確認します。MRIは軟骨や半月板、靭帯の状態を詳しく評価するのに有用です。治療は、保存療法と手術療法に大別されます。保存療法には、薬物療法(非ステロイド性抗炎症薬、ヒアルロン酸関節内注射)、理学療法(運動療法、温熱療法)、装具療法(足底板、サポーター)などがあります。これらの治療で効果が得られない場合や、症状が重度でADLが著しく障害される場合には、手術療法(関節鏡視下手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術など)が検討されます。

看護のポイント

変形性膝関節症の看護では、患者の痛みの管理とADLの維持・向上、そして疾患の進行予防が重要です。観察項目としては、痛みの部位、性質、程度(NRSなど)、持続時間、増悪・緩和因子を詳細に把握します。また、膝関節の腫脹、熱感、発赤の有無、関節可動域、歩行状態、日常生活動作(ADL)の状況、精神状態(不安、抑うつ)も観察します。ケアの実際としては、疼痛コントロールのため、医師の指示に基づく薬剤の適切な使用と効果・副作用の観察を行います。温罨法や冷罨法、体位変換、安静の保持など、非薬物的な疼痛緩和ケアも提供します。ADL援助では、患者の能力に応じた動作指導(杖や歩行器の使用、手すりの活用、階段昇降の工夫など)を行い、安全な環境整備(転倒予防)に努めます。筋力維持・向上のための運動指導や、体重管理の重要性についても助言します。患者教育では、疾患の病態、治療の目的と方法、薬物療法の正しい知識、運動療法の重要性、日常生活での注意点(膝に負担をかけない動作、体重管理、サポーターの活用など)を分かりやすく説明します。また、症状が悪化した際の対処法や、定期的な受診の必要性も伝えます。患者が主体的にセルフケアに取り組めるよう、個別性を考慮した支援が求められます。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、まず視診で膝関節の変形(O脚、X脚)、腫脹、発赤の有無を確認します。触診では、膝関節の熱感、圧痛の部位と程度、関節液貯留の有無を評価します。可動域測定では、屈曲・伸展の角度を測定し、健側と比較して制限の有無や程度を把握します。自動運動と他動運動の両方を確認し、疼痛誘発の有無も記録します。歩行観察では、歩行時の跛行の有無、杖や歩行器の使用状況、歩行速度、歩行時の痛みや不安定性を評価します。筋力評価として、大腿四頭筋などの膝関節周囲筋の筋力低下の有無を確認します。また、日常生活動作(ADL)の自立度を評価し、特に階段昇降、立ち上がり、歩行、座位からの移動など、膝に負担がかかる動作での困難さを把握します。検査データとしては、X線検査の所見(関節裂隙の狭小化、骨棘形成、軟骨下骨の硬化)を確認し、疾患の進行度を評価します。血液検査では、炎症反応(CRP、ESR)の上昇の有無を確認し、鑑別診断や炎症の程度を把握します。これらの情報から、患者の現在の状態や問題点を多角的にアセスメントし、個別的な看護計画を立案します。

関連する看護診断

1. 慢性疼痛: 膝関節の軟骨変性および骨棘形成による炎症と機械的刺激に関連する。 2. 身体可動性障害: 膝関節の疼痛、こわばり、関節可動域制限に関連する。 3. 活動耐性低下: 膝関節の疼痛および身体可動性障害、筋力低下に関連する。 4. 転倒リスク: 膝関節の疼痛、筋力低下、歩行不安定性、バランス障害に関連する。 5. 知識不足: 疾患の病態、治療法、セルフケア管理、生活習慣の改善に関する知識不足に関連する。

看護計画の要約

OP (観察計画): 疼痛の部位、性質、程度、増悪・緩和因子、ADLへの影響を継続的に観察する。膝関節の腫脹、熱感、発赤、可動域、歩行状態、筋力、精神状態(不安、抑うつ)を観察する。X線検査や血液検査データを確認し、疾患の進行度や炎症の有無を把握する。薬物療法の効果と副作用を観察する。TP (援助計画): 医師の指示に基づき、鎮痛剤の適切な投与と効果判定を行う。温罨法や冷罨法、体位変換など、非薬物的な疼痛緩和ケアを提供する。患者のADLレベルに応じた動作援助と安全な環境整備(手すり設置、段差解消、滑り止めマットなど)を行う。理学療法士と連携し、運動療法(関節可動域訓練、筋力増強訓練)を促す。体重管理の重要性を伝え、栄養士と連携して食事指導を行う。EP (教育計画): 疾患の病態、治療の目的と方法、薬物療法の正しい使用方法と注意点について説明する。日常生活での膝への負担を軽減する動作(膝を深く曲げない、重いものを持たない)や、正しい姿勢、靴の選び方について指導する。運動療法の重要性と具体的な方法(ストレッチ、筋力トレーニング)を指導し、継続を促す。体重管理の重要性と具体的な方法を説明する。症状が悪化した際の対処法や、定期的な受診の必要性を説明する。転倒予防のための環境整備や歩行補助具の活用について指導する。