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🦴整形外科

骨粗鬆症

こつそしょうしょう

骨密度が低下し骨折しやすくなる疾患

骨粗鬆症看護転倒予防カルシウム

疾患の概要

骨粗鬆症は、骨の量が減少し、骨の微細構造が劣化することで、骨がもろくなり骨折しやすくなる全身性の骨疾患です。病態生理としては、骨形成と骨吸収のバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回ることで骨密度が低下します。主な原因は、加齢(特に閉経後の女性ホルモン低下)、生活習慣(運動不足、カルシウム・ビタミンD不足、喫煙、過度の飲酒)、特定の疾患(甲状腺機能亢進症、関節リウマチなど)、薬剤(ステロイドなど)が挙げられます。初期には自覚症状がほとんどなく、進行すると背中や腰の痛み、身長の低下、円背(背骨が曲がる)などが現れます。最も重要な症状は、軽微な外力で発生する骨折(脆弱性骨折)で、特に脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折が多く見られます。検査は、骨密度測定(DXA法が標準)、X線検査(骨折の有無、骨変形)、血液・尿検査(骨代謝マーカー、二次性骨粗鬆症の原因検索)が行われます。治療は、薬物療法(ビスホスホネート製剤、SERM、副甲状腺ホルモン製剤、抗RANKL抗体など)、食事療法(カルシウム、ビタミンDの摂取)、運動療法(骨に負荷をかける運動)が中心となります。骨折が生じた場合は、その部位に応じた保存療法や手術療法が行われます。

看護のポイント

骨粗鬆症の看護では、骨折予防と疼痛管理が最重要課題です。観察項目としては、疼痛の有無と程度(部位、性質、増悪・緩和因子)、ADLの変化、転倒リスク(歩行状態、視力、筋力、使用薬剤)、骨折の既往、食事内容(カルシウム・ビタミンD摂取量)、運動習慣、排便状況(薬剤の副作用)、心理状態(不安、抑うつ)を詳細に把握します。ケアの実際では、転倒予防のための環境整備(手すり設置、段差解消、滑りにくい床材)、履物の選択、歩行補助具の検討、適切な体位保持、疼痛緩和のための温罨法や体位変換、薬剤の確実な服用支援、便秘予防のための水分摂取や食物繊維の摂取を促します。患者教育では、骨粗鬆症の病態理解、薬物療法の重要性(服薬方法、副作用)、食事療法(カルシウム・ビタミンDを多く含む食品、日光浴の推奨)、運動療法(ウォーキング、体操など骨に負荷をかける運動の紹介)、転倒予防の具体策、禁煙・節酒の指導を行います。骨折後の患者には、リハビリテーションの重要性や社会資源の活用についても情報提供し、QOLの維持・向上を支援します。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、身体測定(身長、体重、BMI)、姿勢(円背の有無、脊柱の変形)、歩行状態(不安定性、ふらつき)、筋力、関節可動域、疼痛部位の触診、神経学的所見(しびれ、麻痺の有無)を確認します。特に、身長の低下や円背は脊椎圧迫骨折を示唆する重要な所見です。転倒リスク評価ツール(例:Morse Fall Scale, Hendrich II Fall Risk Model)を用いて客観的に評価します。検査データでは、骨密度測定(DXA法)の結果(Tスコア、YAM値)、骨代謝マーカー(ALP、TRACP-5b、P1NP、NTxなど)の変動、血清カルシウム値、血清リン値、血清アルブミン値、血清ビタミンD値、甲状腺機能検査、腎機能検査などを確認します。これらのデータから、骨粗鬆症の重症度、病態、治療効果、二次性骨粗鬆症の有無をアセスメントします。特に、Tスコアが-2.5以下は骨粗鬆症と診断されます。薬剤の副作用として、肝機能障害や腎機能障害の有無も定期的に確認します。

関連する看護診断

1. 転倒リスク状態:骨密度低下による骨脆弱性、筋力低下、視力低下、ふらつき、環境要因(段差、滑りやすい床)に関連した骨折の危険性。 2. 慢性疼痛:脊椎圧迫骨折、骨変形、骨膜への刺激に関連した背部痛、腰痛。 3. 身体活動性低下:疼痛、骨折への恐怖、筋力低下、関節可動域制限に関連したADLの制限。 4. 知識不足:疾患の病態、治療法、食事療法、運動療法、転倒予防策に関する情報不足。 5. 不安:骨折の再発、身体機能の低下、ADLの変化、将来への不確実性に関連した精神的苦痛。

看護計画の要約

【OP(観察計画)】疼痛の部位・性質・程度、ADLの変化、転倒リスク要因(歩行状態、筋力、視力、使用薬剤、環境)、食事内容(Ca・VitD摂取量)、運動習慣、骨密度測定結果、骨代謝マーカー、薬剤副作用(消化器症状、腎機能障害など)、心理状態(不安、抑うつ)を継続的に観察する。【TP(援助計画)】転倒予防のための環境整備指導、歩行補助具の活用支援、疼痛緩和のための体位調整・温罨法・薬剤投与管理、ADLに応じた生活支援、薬物療法の確実な実施支援(服薬指導、副作用モニタリング)、便秘予防のための水分・食物繊維摂取促進、骨折後のリハビリテーション支援。【EP(教育計画)】骨粗鬆症の病態と治療の必要性、薬物療法の正しい知識と重要性(服薬方法、副作用、継続の必要性)、カルシウム・ビタミンDを多く含む食品の紹介と日光浴の推奨、骨に負荷をかける運動(ウォーキング、体操など)の指導、転倒予防のための具体的な行動(手すり利用、滑りにくい履物、段差解消)、禁煙・節酒の指導、骨折発生時の対処法、利用可能な社会資源の情報提供。