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コミュニケーション2026/02/086分で読める

患者とのコミュニケーション技術:信頼関係を築くための実践ガイド

看護におけるコミュニケーションの重要性

看護におけるコミュニケーションは、単なる「会話」ではありません。患者の身体的・心理的・社会的な情報を収集し、信頼関係(ラポール)を構築し、治療的な関わりを行うための専門的なスキルです。

看護学生が実習で最も不安に感じることの一つが「患者とのコミュニケーション」です。しかし、いくつかの基本的な技術を身につけることで、自信を持って患者と関わることができるようになります。

基本的なコミュニケーション技術

1. 傾聴(Active Listening)

傾聴とは、相手の話を注意深く聴き、理解しようとする姿勢のことです。単に耳で聞くだけでなく、全身で「あなたの話を聴いています」というメッセージを伝えます。

実践のポイント:

  • 患者と目線の高さを合わせる(立ったまま話さない)
  • 適度なアイコンタクトを保つ
  • 相づちを打つ(「はい」「そうなんですね」「なるほど」)
  • 患者が話し終わるまで遮らない
  • スマートフォンやメモ帳に集中しすぎない

2. 開かれた質問(Open-ended Questions)

「はい」「いいえ」で答えられる閉じた質問ではなく、患者が自由に答えられる開かれた質問を使うことで、より多くの情報を引き出すことができます。

閉じた質問の例:

  • 「痛みはありますか?」→「はい」で終わってしまう
  • 「食事は食べましたか?」→「はい」で終わってしまう

開かれた質問の例:

  • 「今日のお体の調子はいかがですか?」→ 患者が自分の言葉で状態を説明できる
  • 「お食事について、何かお困りのことはありますか?」→ 具体的な問題が見えてくる

3. 反復(Reflection)

患者の言葉を繰り返すことで、「あなたの話を理解しています」というメッセージを伝え、患者がさらに話を深めるきっかけを作ります。

例:

  • 患者:「昨日の夜、なかなか眠れなくて...」
  • 看護学生:「昨夜は眠れなかったんですね。」
  • 患者:「ええ、手術のことが気になって...」(→ 不安の表出につながる)

4. 感情の反映(Reflecting Feelings)

患者の言葉の裏にある感情を言語化して返すことで、患者は「自分の気持ちを理解してもらえた」と感じ、信頼関係が深まります。

例:

  • 患者:「退院しても、一人で薬の管理ができるか心配で...」
  • 看護学生:「退院後の生活に不安を感じていらっしゃるんですね。」

5. 沈黙の活用

会話の中の沈黙を恐れる必要はありません。沈黙は、患者が考えを整理したり、感情を表現する準備をしたりするための大切な時間です。

沈黙が生じたときの対応:

  • 焦って話題を変えない
  • 穏やかな表情で待つ
  • 必要に応じて「ゆっくりで大丈夫ですよ」と声をかける
  • 長い沈黙の後は「何かお考えのことがありましたか?」と優しく促す

場面別コミュニケーションのコツ

初対面の挨拶

第一印象は非常に重要です。明るく、はっきりとした声で自己紹介しましょう。

「おはようございます。看護学生の○○と申します。本日から△日間、□□さんを担当させていただきます。よろしくお願いいたします。何かお困りのことがありましたら、いつでもお声がけください。」

バイタルサイン測定時

測定中は患者と1対1で関わる貴重な機会です。測定しながら自然な会話を心がけましょう。

  • 「昨夜はよく眠れましたか?」
  • 「お食事の味はいかがですか?」
  • 「リハビリはいかがでしたか?」

患者が不安を訴えたとき

不安を訴える患者に対して、安易に「大丈夫ですよ」と言うのは避けましょう。根拠のない励ましは、かえって患者の不安を増大させることがあります。

避けるべき対応:

  • 「大丈夫ですよ、心配しないでください」
  • 「みんな同じですよ」
  • 「先生が大丈夫って言ってましたよ」

望ましい対応:

  • 「不安なお気持ち、よくわかります」(感情の受容)
  • 「具体的にどのようなことが心配ですか?」(不安の具体化)
  • 「一緒に考えていきましょう」(支持的な姿勢)

認知症の患者とのコミュニケーション

  • 短い文章でゆっくり話す
  • 一度に一つのことだけ伝える
  • 否定せず、患者の世界観を尊重する
  • 非言語的コミュニケーション(表情、ジェスチャー、タッチング)を活用する

非言語的コミュニケーション

コミュニケーションの約65%は非言語的要素で構成されていると言われています。言葉だけでなく、以下の要素にも注意を払いましょう。

  • 表情:穏やかで温かい表情を心がける
  • 姿勢:患者に体を向け、やや前傾姿勢で関心を示す
  • 距離:パーソナルスペース(45cm〜1.2m)を意識する
  • 声のトーン:落ち着いた、聞き取りやすい声で話す
  • タッチング:必要に応じて手を添える(ただし文化的配慮が必要)

まとめ

コミュニケーション技術は、練習を重ねることで必ず上達します。最初から完璧を目指す必要はありません。「患者の話を聴きたい」「患者を理解したい」という真摯な姿勢があれば、技術は後からついてきます。実習の中で一つずつ実践し、振り返りを行いながら、自分なりのコミュニケーションスタイルを築いていきましょう。