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記録の書き方2026/02/127分で読める

看護計画の立て方と個別性の出し方:テンプレ丸写しから脱却するコツ

「個別性がない」と言われる理由

看護実習で最もよく受ける指摘の一つが「個別性がない」です。これは、教科書やテンプレートに書かれている一般的な看護計画をそのまま書き写してしまうことが原因です。

例えば、「転倒リスク」という看護問題に対して、「環境整備を行う」「歩行時に付き添う」といった計画は、どの患者にも当てはまる一般的な内容です。個別性のある計画とは、その患者だからこそ必要な、その患者に合わせた具体的な計画のことです。

個別性を出すための3ステップ

ステップ1:患者の「その人らしさ」を理解する

個別性の源は、患者一人ひとりの生活背景、価値観、性格、家族関係にあります。同じ疾患でも、患者によって看護計画は大きく異なるべきです。

例:同じ「糖尿病」でも...

  • Aさん(65歳、独居、料理が苦手)→ 食事療法の指導は、コンビニや宅配サービスを活用した現実的な方法を提案
  • Bさん(45歳、営業職、接待が多い)→ 外食時のメニュー選択のコツ、飲酒量のコントロール方法を中心に指導
  • Cさん(78歳、認知機能低下あり、家族と同居)→ 家族への指導を中心に、服薬管理の支援体制を構築

ステップ2:アセスメントから計画への論理的なつながりを作る

看護計画は、アセスメントの結論から直接導き出されるものです。アセスメントで「なぜこの問題が生じているのか」を分析し、その原因に対するアプローチを計画に反映させます。

悪い例(個別性なし):

  • 看護問題:転倒リスク
  • 計画:環境整備を行う、歩行時に付き添う

良い例(個別性あり):

  • 看護問題:右大腿骨頸部骨折術後の筋力低下と、パーキンソン病による姿勢反射障害に関連した転倒リスク
  • 計画:
    • OP:歩行時のすくみ足の出現頻度と状況を観察、リハビリ後の疲労度を評価
    • TP:トイレ歩行時はL字杖を使用し患側に付き添う、すくみ足出現時は「1、2、1、2」と声かけでリズムを取る
    • EP:杖の正しい使い方を繰り返し指導、転倒しそうになった時の対処法(壁に手をつく、その場にしゃがむ)を説明

ステップ3:患者の反応を計画に反映させる

看護計画は一度立てたら終わりではありません。日々の看護実践の中で、患者の反応を観察し、計画を修正していくことが重要です。

  • 計画通りにケアを実施した結果、患者はどう反応したか
  • 期待した効果が得られなかった場合、何が原因か
  • 患者から新たなニーズや希望が表明されたか

看護計画の具体的な書き方

OP(観察計画)の個別化

一般的な観察項目に加えて、その患者特有の観察ポイントを追加します。

  • 一般的:バイタルサイン、疼痛の程度
  • 個別的:「Aさんは痛みを我慢する傾向があるため、表情や体動からも疼痛を評価する」「夜間の不眠が続いているため、日中の傾眠傾向も観察する」

TP(ケア計画)の個別化

ケアの方法を、患者の生活習慣や好みに合わせて調整します。

  • 一般的:清拭を行う
  • 個別的:「Aさんは入浴が好きで清潔へのこだわりが強いため、全身清拭ではなく、医師の許可を得てシャワー浴を検討する。シャワー浴が困難な場合は、温タオルで丁寧に清拭し、好みの保湿剤を塗布する」

EP(教育計画)の個別化

指導内容と方法を、患者の理解力、学習スタイル、生活環境に合わせて調整します。

  • 一般的:退院後の服薬指導を行う
  • 個別的:「Aさんは視力低下があるため、薬の識別には大きな文字のラベルを使用する。また、独居のため、お薬カレンダーを導入し、訪問看護師と連携して服薬確認の体制を整える」

指導者に評価されるポイント

  1. 根拠が明確:なぜその計画を立てたのか、アセスメントとの論理的なつながりが説明できる
  2. 具体的:「いつ」「何を」「どのように」が明確に記載されている
  3. 実行可能:理想論ではなく、実際に実施できる現実的な計画である
  4. 評価可能:計画の効果を評価するための基準が設定されている
  5. 患者参加:患者の意向や希望が反映されている

まとめ

個別性のある看護計画を立てるためには、患者を「疾患を持つ人」ではなく「その人らしい生活を送る一人の人間」として理解することが出発点です。教科書の知識を土台にしつつ、目の前の患者に合わせてカスタマイズする力を、実習を通じて磨いていきましょう。