疾患一覧に戻る
👶産婦人科

子宮筋腫

しきゅうきんしゅ

子宮にできる良性腫瘍で、過多月経や不妊の原因になる

子宮筋腫看護手術過多月経

疾患の概要

子宮筋腫は、子宮の筋肉組織に発生する良性の腫瘍で、成人女性の20〜30%にみられる最も一般的な婦人科疾患の一つです。病態生理としては、エストロゲン依存性に増殖すると考えられており、閉経後に縮小する傾向があります。発生部位により、子宮の外側にできる漿膜下筋腫、子宮の筋肉内にできる筋層内筋腫、子宮の内腔に突出する粘膜下筋腫に分類され、それぞれ症状の出方が異なります。原因は明確には解明されていませんが、遺伝的要因やホルモンバランスの乱れが関与すると考えられています。主な症状は、月経量の増加(過多月経)による貧血、月経痛の悪化、不正出血、下腹部痛、腰痛、頻尿、便秘などです。筋腫が大きくなると、周囲の臓器を圧迫し、これらの症状が顕著になります。診断は、内診、超音波検査が一般的で、必要に応じてMRI検査や子宮鏡検査が行われます。治療法は、症状の程度、筋腫の大きさ、患者さんの年齢、妊娠希望の有無によって異なります。薬物療法(GnRHアゴニスト、LEP製剤など)は症状緩和や筋腫縮小を目的とし、根本的な治療ではありません。手術療法には、筋腫のみを摘出する子宮筋腫核出術と、子宮全体を摘出する子宮全摘術があります。その他、子宮動脈塞栓術(UAE)や集束超音波治療(FUS)などの選択肢もあります。

看護のポイント

子宮筋腫の看護では、まず患者さんの症状を正確に把握し、苦痛の緩和に努めることが重要です。過多月経による貧血が進行しないよう、鉄剤の内服指導や食事指導を行います。月経痛や下腹部痛に対しては、鎮痛剤の使用効果や温罨法などの非薬物療法の提案、休息の確保を促します。排尿や排便に関する症状がある場合は、その頻度や性状を観察し、必要に応じて生活指導を行います。治療法の選択に際しては、患者さんの年齢、妊娠希望の有無、今後のライフプランを十分に考慮し、医師からの説明を補足し、患者さんが納得して選択できるよう支援します。手術療法を選択した患者さんには、術前・術後の身体的・精神的ケアが不可欠です。術前の不安軽減、術後の疼痛管理、早期離床の促進、合併症の予防に努めます。退院後の生活指導では、術後の回復状況に応じた活動制限、性生活、定期的な婦人科受診の重要性を伝えます。薬物療法を受ける患者さんには、薬剤の作用、副作用、内服方法について詳しく説明し、自己管理を支援します。長期的な視点でのフォローアップも重要であり、症状の変化や再発の兆候に注意を促し、継続的な受診を促します。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、まず患者さんの訴える主訴(過多月経、月経痛、下腹部痛、不正出血、頻尿、便秘など)を詳細に聴取します。問診では、月経周期、月経量、月経期間、月経痛の程度、鎮痛剤の使用状況、排尿・排便状況、性交時痛の有無、妊娠・出産歴、既往歴、家族歴を確認します。視診では、顔色や皮膚・粘膜の蒼白さの有無から貧血の兆候を観察します。触診では、下腹部の圧痛や筋腫による腫瘤の有無、硬さを確認します。バイタルサイン(血圧、脈拍、体温、呼吸数)は、貧血の程度や感染の有無を把握するために重要です。検査データでは、血液検査で貧血の有無と程度(ヘモグロビン値、ヘマトクリット値、血清鉄値など)を確認します。腫瘍マーカー(CA125など)は、悪性疾患との鑑別のために測定されることがあります。画像検査では、経腟超音波検査で筋腫の位置、大きさ、数、性状を評価します。MRI検査は、筋腫と他の病変との鑑別や、詳細な情報が必要な場合に用いられます。子宮鏡検査は、粘膜下筋腫の診断や治療方針決定に有用です。これらの情報をもとに、患者さんの身体的・精神的状態を総合的にアセスメントします。

関連する看護診断

1. 疼痛(急性または慢性): 子宮筋腫による月経痛や下腹部痛、圧迫症状に関連して。 2. 出血のリスク: 過多月経や不正出血による貧血、循環血液量減少に関連して。 3. 不安: 診断、治療法の選択、手術、妊娠への影響、再発への懸念に関連して。 4. 身体イメージの変調: 疾患による身体症状、子宮摘出術、性機能への影響に関連して。 5. 知識不足: 疾患の病態、治療法、セルフケア、予後に関する情報不足に関連して。

看護計画の要約

OP(観察項目): 月経量・性状、月経痛の程度と部位、下腹部痛、不正出血の有無、貧血症状(顔色、倦怠感、めまい)、バイタルサイン、排尿・排便状況、下腹部腫瘤の有無、検査データ(Hb値、Hct値)、患者の不安の程度と表現、治療法選択への理解度。TP(治療・援助): 疼痛緩和のための鎮痛剤投与と効果評価、温罨法などの非薬物療法の実施、貧血改善のための鉄剤内服指導と食事指導、止血剤の投与管理、手術前後の身体的・精神的ケア(術前オリエンテーション、疼痛管理、早期離床支援、合併症予防)、薬物療法中の副作用観察と対処、医師の指示に基づく検査・処置の介助、患者の訴えに対する傾聴と共感的対応。EP(教育): 疾患の病態生理と原因、症状、治療法の選択肢とそのメリット・デメリット、薬物療法の効果と副作用、貧血予防のための食事指導と鉄剤内服の重要性、月経痛や下腹部痛のセルフケア方法、排尿・排便習慣の改善、手術前後の注意点と術後合併症の徴候、退院後の生活指導(活動制限、性生活、定期的な婦人科受診の重要性)、妊娠希望のある患者への情報提供、不安や疑問の表出を促し、適切な情報提供と心理的サポート。