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🫁呼吸器

胸水

きょうすい

胸腔内に液体が貯留し呼吸機能を障害する状態

胸水看護胸腔穿刺呼吸困難

疾患の概要

胸水とは、肺を覆う胸膜腔内に異常な量の液体が貯留する状態を指します。通常、胸膜腔には少量の胸水が存在し、肺の動きを滑らかにしていますが、この産生と吸収のバランスが崩れることで胸水が生じます。病態生理としては、胸膜の炎症(肺炎、結核、悪性腫瘍など)、心不全による静水圧上昇、肝硬変や腎不全による膠質浸透圧低下、リンパ管閉塞などが挙げられます。原因は多岐にわたり、感染症(細菌性肺炎、結核)、悪性腫瘍(肺がん、乳がん、悪性中皮腫)、心不全、肝硬変、腎不全、膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス)、肺塞栓症、薬剤性などが代表的です。主な症状は、貯留量や原因によって異なりますが、呼吸困難、胸痛(特に深呼吸時)、咳、発熱(感染症の場合)、倦怠感などがあります。少量であれば無症状のこともあります。検査には、胸部X線、胸部CT、超音波検査による胸水の確認と量の評価、胸腔穿刺による胸水分析(細胞診、生化学検査、細菌培養など)が行われます。胸水分析により、漏出性胸水(心不全、肝硬変など)か滲出性胸水(炎症、悪性腫瘍など)かを鑑別し、原因疾患を特定します。治療は、胸水の原因疾患に対する治療が基本となります。例えば、心不全であれば利尿薬、感染症であれば抗菌薬、悪性腫瘍であれば抗がん剤治療や放射線治療を行います。症状緩和のため、胸腔穿刺による胸水除去や、持続的な胸水排出が必要な場合は胸腔ドレナージが実施されることもあります。

看護のポイント

胸水患者の看護では、呼吸状態の観察と症状緩和、合併症の予防、原因疾患への治療支援が重要です。観察項目としては、呼吸数、呼吸様式(努力呼吸の有無、補助呼吸筋の使用)、SpO2、チアノーゼの有無、胸痛の有無と程度、咳嗽の有無と痰の性状、発熱の有無、全身倦怠感、浮腫の有無などを継続的に評価します。胸腔ドレナージが挿入されている場合は、ドレナージバッグ内の排液量、性状、空気漏れの有無、チューブの閉塞や屈曲がないか、挿入部の皮膚状態を注意深く観察します。ケアの実際としては、呼吸困難感の軽減のため、セミファウラー位など安楽な体位の保持、必要に応じて酸素投与を行います。胸痛に対しては、鎮痛薬の適切な使用と効果の評価を行います。胸腔ドレナージ管理では、無菌操作を徹底し感染予防に努め、定期的な排液量の記録と医師への報告を行います。患者教育では、疾患の原因と治療の必要性、呼吸困難時の対処法(口すぼめ呼吸など)、胸腔ドレナージ中の注意点(チューブの引っ張り防止、体位変換時の注意)、退院後の生活指導(服薬指導、症状悪化時の受診基準)などを分かりやすく説明し、患者と家族の理解を深めることが大切です。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、まず視診で呼吸困難の有無、呼吸様式、チアノーゼ、胸郭の左右差、浮腫の有無を確認します。聴診では、胸水貯留部位では呼吸音の減弱または消失が特徴的であり、貯留量や部位によって異なります。打診では、胸水貯留部位では濁音を呈します。触診では、胸郭の動きの左右差や圧痛の有無を確認します。検査データでは、胸部X線やCTで胸水の貯留部位や量を評価し、経時的な変化を追います。胸水分析では、外観(色、混濁度)、比重、タンパク質濃度、LDH値、細胞数、細胞診(悪性細胞の有無)、細菌培養などから、漏出性か滲出性か、感染の有無、悪性腫瘍の可能性などを判断します。血液検査では、炎症反応(CRP、白血球数)、腎機能(BUN、Cr)、肝機能(AST、ALT)、心機能マーカー(BNP)などを確認し、原因疾患の特定に役立てます。SpO2や動脈血液ガス分析で酸素化の状態を評価します。

関連する看護診断

1. ガス交換障害: 根拠: 胸水貯留による肺の圧迫と換気障害、呼吸困難感、SpO2低下。 2. 急性疼痛: 根拠: 胸膜の炎症、胸水の貯留による胸郭の伸展、胸腔穿刺やドレナージによる侵襲。 3. 活動耐性低下: 根拠: 呼吸困難感、全身倦怠感、酸素化の低下、疾患による消耗。 4. 感染リスク状態: 根拠: 胸腔穿刺や胸腔ドレナージによる皮膚バリアの破綻、免疫力の低下、基礎疾患(悪性腫瘍など)。 5. 不安: 根拠: 呼吸困難感、診断の不確実性、治療への懸念、予後への不安。

看護計画の要約

OP: 呼吸困難感の有無と程度、呼吸数、SpO2、呼吸音、胸痛の有無と程度、胸腔ドレナージからの排液量・性状・空気漏れの有無、発熱の有無、全身倦怠感、検査データ(胸部X線、CT、胸水分析結果、血液データ)を継続的に観察する。TP: 呼吸困難緩和のため、安楽な体位の保持と酸素投与の管理を行う。胸痛に対しては、医師の指示に基づき鎮痛薬を適切に投与し効果を評価する。胸腔ドレナージ管理では、無菌操作を徹底し感染予防に努め、チューブの閉塞や屈曲がないか確認し、排液量を正確に記録する。医師の指示に基づき、胸腔穿刺やドレナージの介助を行う。原因疾患の治療(薬剤投与、食事管理など)を支援する。EP: 疾患の原因、治療の必要性、呼吸困難時の対処法、胸腔ドレナージ中の注意点、退院後の服薬管理、症状悪化時の受診基準について患者と家族に説明し、理解を促す。不安の軽減のため、傾聴し、質問に答える機会を設ける。必要に応じて、社会資源の紹介を行う。