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🧠脳神経

パーキンソン病

ぱーきんそんびょう

ドパミン神経の変性により振戦・固縮・無動を呈する神経変性疾患

パーキンソン病看護振戦L-DOPA

疾患の概要

パーキンソン病は、中脳の黒質ドパミン神経細胞が変性・脱落することで、神経伝達物質であるドパミンが不足し、運動機能に障害が生じる進行性の神経変性疾患です。原因は不明な点が多いですが、遺伝的要因や環境要因の関与が示唆されています。主な症状は、安静時振戦(手足の震え)、固縮(筋肉のこわばり)、無動・寡動(動作が遅く少なくなる)、姿勢反射障害(バランスがとりにくく転倒しやすい)の四大症状です。これらに加えて、嗅覚障害、便秘、睡眠障害、うつ病、認知機能障害などの非運動症状も高頻度で認められます。診断は、問診や神経学的診察による臨床症状の評価が中心となります。ドパミントランスポーターシンチグラフィー(DATスキャン)などの画像検査が補助的に用いられることもあります。治療は、薬物療法が中心で、L-ドパ製剤、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬などが用いられ、症状の改善を図ります。進行期には、脳深部刺激療法(DBS)などの外科的治療が検討されることもあります。根治的な治療法はまだ確立されておらず、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持することが治療の目標となります。

看護のポイント

パーキンソン病の看護では、患者さんの日常生活動作(ADL)の維持・向上と、合併症の予防が重要です。観察項目としては、四大症状(振戦、固縮、無動・寡動、姿勢反射障害)の程度と日内変動、薬物療法の効果と副作用(ジスキネジア、ウェアリングオフ現象など)、嚥下機能、排便状況、睡眠パターン、精神状態(うつ、不安)などを継続的に評価します。ケアの実際では、転倒予防のため、環境整備(手すりの設置、段差の解消)や歩行補助具の使用指導を行います。食事介助では、嚥下機能に応じた食事形態の調整や、ゆっくりと時間をかけて摂取できるよう援助します。排便コントロールのため、水分摂取の促進や食物繊維の多い食事の提供、必要に応じて下剤の使用を検討します。患者教育では、病気の進行や症状の変化、薬物療法の重要性、副作用への対処法について理解を深めてもらい、自己管理能力を高める支援を行います。また、患者さんやご家族が抱える精神的苦痛や不安に対し、傾聴と共感を示し、心理的サポートを提供することも重要です。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、まず患者さんの歩行状態を観察し、小刻み歩行や突進現象、すくみ足の有無を確認します。安静時振戦の部位、頻度、程度を評価し、固縮の有無は関節の他動運動で抵抗感を触知します。無動・寡動は、表情の乏しさ(仮面様顔貌)、瞬きの減少、動作の緩慢さから判断します。姿勢反射障害は、後方への軽いつきだしでバランスを崩すかを確認しますが、転倒リスクを考慮し慎重に行います。嚥下機能は、食事中のむせや声の変化、体重減少の有無から評価します。排便状況は、便秘の有無や排便回数、便の性状を確認します。また、起立性低血圧の有無を確認するため、臥位・立位での血圧測定を行います。検査データでは、血液検査で電解質異常や貧血の有無、肝腎機能などを確認し、薬物療法の副作用の早期発見に役立てます。画像検査として、頭部MRIで他の疾患との鑑別を行い、DATスキャンでドパミン神経の変性度を評価することもありますが、これらは診断補助的な役割が大きいです。

関連する看護診断

1. 転倒リスク状態:姿勢反射障害、固縮、すくみ足による歩行不安定性に関連して。 2. 身体可動性障害:固縮、無動・寡動、疼痛に関連して。 3. 栄養摂取量不足:嚥下困難、食欲不振、食事準備の困難さに関連して。 4. 便秘:腸管運動の低下、水分摂取不足、活動量の低下に関連して。 5. 睡眠パターン障害:夜間頻尿、身体の不快感、不安に関連して。

看護計画の要約

OP: 振戦、固縮、無動・寡動、姿勢反射障害の程度と日内変動を観察する。薬物療法の効果と副作用(ジスキネジア、ウェアリングオフ現象)を観察する。嚥下機能、食事摂取量、体重を観察する。排便状況、排便回数、便の性状を観察する。転倒の有無、転倒リスク因子を観察する。睡眠パターン、精神状態(うつ、不安)を観察する。TP: 転倒予防のため、環境整備(手すりの設置、段差の解消)を行う。歩行訓練、関節可動域訓練、筋力増強訓練などのリハビリテーションを支援する。嚥下機能に応じた食事形態の調整、食事介助を行う。水分摂取の促進、食物繊維の多い食事の提供、必要に応じて下剤の調整を行う。入浴介助、更衣介助などADLの援助を行う。EP: 病気の進行や症状の変化、薬物療法の重要性、副作用への対処法について説明する。転倒予防のための具体的な方法(歩行補助具の使用、靴の選択など)を指導する。嚥下体操や口腔ケアの重要性を指導する。便秘予防のための生活習慣(水分摂取、運動)を指導する。患者会や地域の社会資源の活用について情報提供する。