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🫁呼吸器

肺がん

はいがん

肺に発生する悪性腫瘍で、日本のがん死亡原因の上位

肺がん看護化学療法呼吸管理

疾患の概要

肺がんは、気管、気管支、肺胞などの肺の細胞が異常に増殖し、悪性腫瘍を形成する疾患です。病態生理としては、正常な細胞の遺伝子変異により、細胞周期の制御が失われ、無秩序な増殖と周囲組織への浸潤、遠隔転移を引き起こします。主な原因は喫煙(受動喫煙含む)であり、約85%の肺がん患者に関連するとされています。その他、アスベストなどの環境要因、大気汚染、遺伝的要因も関与します。組織型により、小細胞肺がんと非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなど)に大別され、それぞれ治療法や予後が異なります。主な症状は、初期には無症状のことが多く、進行すると持続する咳、血痰、胸痛、呼吸困難、喘鳴、声のかすれ、体重減少、全身倦怠感などが出現します。転移部位によっては、骨痛、頭痛、麻痺などの症状を呈することもあります。診断には、胸部X線、CT、MRI、PET-CTなどの画像検査に加え、喀痰細胞診、気管支鏡検査、経皮的肺生検などによる組織学的・細胞学的診断が不可欠です。治療は、病期や組織型、患者の全身状態によって異なり、手術、化学療法、放射線療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などが単独または組み合わせて行われます。近年では、個別化医療として遺伝子変異に応じた治療薬が選択されることも増えています。早期発見・早期治療が予後改善に繋がるため、定期的な検診の重要性が強調されています。

看護のポイント

肺がん患者の看護では、身体的苦痛の緩和、精神的サポート、治療の継続支援が重要です。まず、呼吸困難、疼痛、倦怠感、食欲不振、悪心・嘔吐などの症状マネジメントが中心となります。呼吸困難に対しては、体位調整、酸素療法、呼吸リハビリテーション、不安の軽減を図ります。疼痛管理では、鎮痛薬の効果評価と副作用の観察を徹底し、患者に合わせた適切な鎮痛法を医師と連携して提供します。化学療法や放射線療法による副作用(骨髄抑制、脱毛、粘膜炎、皮膚炎など)の早期発見と対処も重要です。精神的側面では、がん告知による衝撃、治療への不安、予後への恐怖など、患者や家族が抱える複雑な感情に寄り添い、傾聴と共感を示します。必要に応じて、精神科医やがん専門相談員への紹介も検討します。患者教育としては、疾患の理解を深め、治療の必要性、副作用への対処法、セルフケアの重要性を分かりやすく説明します。禁煙指導は必須であり、禁煙補助薬の活用やサポート体制の情報提供を行います。退院後の生活を見据え、在宅酸素療法や訪問看護、緩和ケアサービスなどの社会資源に関する情報提供と調整も重要な役割です。患者が主体的に治療に参加し、QOLを維持できるよう多職種と連携し、継続的な支援を提供します。

アセスメントのポイント

肺がん患者のアセスメントでは、全身状態の把握と症状の評価が中心となります。フィジカルアセスメントでは、まず呼吸状態の観察が重要です。呼吸数、呼吸様式、努力呼吸の有無、チアノーゼ、SpO2を測定し、異常があれば直ちに報告します。胸部の聴診では、呼吸音の減弱、ラ音、喘鳴の有無を確認します。循環状態として、脈拍、血圧、浮腫の有無を評価します。疼痛の有無、部位、性質、強さ(NRSなどを用いて数値化)を詳細に聴取し、鎮痛薬の効果を評価します。全身倦怠感、食欲不振、悪心・嘔吐、体重減少などの全身症状も問診と観察で把握します。神経学的な症状(頭痛、めまい、麻痺など)は脳転移の可能性を示唆するため、注意深く観察します。検査データでは、血液検査(CBC、肝機能、腎機能、電解質、腫瘍マーカーなど)で治療による副作用や全身状態の変化を評価します。特に白血球減少、貧血、血小板減少などの骨髄抑制は化学療法中に頻繁にみられるため、定期的なモニタリングが必要です。画像検査(胸部X線、CT、MRI、PET-CT)の結果から、腫瘍の大きさ、部位、リンパ節転移、遠隔転移の有無を確認し、病期や治療効果を把握します。これらの情報を統合し、患者の抱える問題点を明確にすることで、個別性のある看護計画立案に繋げます。

関連する看護診断

1. ガス交換障害の可能性:腫瘍による気道閉塞、肺実質の破壊、胸水貯留に関連して。 2. 疼痛:腫瘍の浸潤、骨転移、治療(手術、放射線療法)に関連して。 3. 栄養摂取量不足:悪心・嘔吐、食欲不振、嚥下困難、代謝亢進、治療の副作用に関連して。 4. 不安:疾患の診断、治療の副作用、予後、身体イメージの変化に関連して。 5. 感染のリスク:骨髄抑制、免疫力低下、気道分泌物貯留、侵襲的処置に関連して。

看護計画の要約

【OP(観察計画)】 1. 呼吸状態の観察:呼吸数、SpO2、呼吸様式、努力呼吸の有無、チアノーゼ、呼吸音、痰の性状・量。 2. 疼痛の評価:部位、性質、強さ(NRS)、鎮痛薬の効果と副作用。 3. 全身状態の観察:バイタルサイン、意識レベル、倦怠感、食欲、体重、悪心・嘔吐、排泄状況。 4. 治療による副作用の観察:化学療法(骨髄抑制、脱毛、粘膜炎など)、放射線療法(皮膚炎、食道炎など)。 5. 精神状態の評価:不安、抑うつ、睡眠状況、表情、言動。 6. 検査データの確認:CBC、肝機能、腎機能、電解質、腫瘍マーカー、画像検査結果。 【TP(援助計画)】 1. 呼吸困難の緩和:安楽な体位の保持、酸素療法、呼吸リハビリテーション、必要に応じて吸痰。 2. 疼痛管理:医師の指示に基づく鎮痛薬の適切な使用、非薬物的鎮痛法(温罨法、マッサージ、リラクセーション)。 3. 栄養管理:少量頻回食、高カロリー食の提供、栄養補助食品の検討、悪心・嘔吐に対する制吐剤の投与。 4. 精神的サポート:傾聴、共感、不安の表出を促す、必要に応じて精神科医やがん専門相談員への紹介。 5. 副作用対策:口腔ケア、皮膚ケア、感染予防策(手洗い、マスク着用、環境整備)。 6. 治療継続支援:治療スケジュール管理、副作用への対処法指導、治療意義の再確認。 【EP(教育計画)】 1. 疾患と治療に関する説明:病名、病期、治療の目的と内容、予想される副作用とその対処法。 2. 症状マネジメント指導:呼吸困難、疼痛、倦怠感、悪心・嘔吐などのセルフケア方法。 3. 禁煙指導:禁煙の重要性、禁煙補助薬や禁煙外来の情報提供。 4. 栄養指導:食欲不振時の工夫、栄養バランスの取れた食事の摂り方。 5. 感染予防策の指導:手洗い、うがい、人混みを避ける、体調管理の重要性。 6. 社会資源の紹介:在宅医療、緩和ケア、がん相談支援センター、患者会などの情報提供。