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🦴整形外科

腰椎椎間板ヘルニア

ようついついかんばんへるにあ

椎間板が突出し神経を圧迫する疾患

腰椎椎間板ヘルニア看護腰痛手術

疾患の概要

腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の腰の部分にある椎間板が、何らかの原因で正常な位置から飛び出し、近くを通る神経を圧迫することで、痛みやしびれなどの症状を引き起こす疾患です。椎間板は、線維輪という硬い組織の中に髄核というゼリー状の組織が入っており、クッションの役割をしています。加齢による変性、重労働やスポーツによる過度な負担、姿勢の悪さ、遺伝的要因などが原因となります。特に、中腰での作業や前かがみの姿勢が多い人に発症しやすい傾向があります。主な症状は、腰痛、殿部から下肢にかけての放散痛(坐骨神経痛)、しびれ、筋力低下、感覚障害などです。重症化すると、排尿・排便障害(膀胱直腸障害)をきたすこともあります。診断には、問診、神経学的診察(SLRテストなど)、X線検査、MRI検査、CT検査などが行われます。特にMRI検査は、椎間板の状態や神経圧迫の程度を詳細に評価する上で重要です。治療は、保存療法が主体となります。安静、薬物療法(非ステロイド性抗炎症薬、筋弛緩薬、神経障害性疼痛治療薬など)、理学療法(牽引、温熱療法、運動療法)、神経ブロック注射などがあります。これらの保存療法で改善が見られない場合や、筋力低下が進行する場合、膀胱直腸障害を伴う場合には、手術療法(内視鏡手術、顕微鏡下手術など)が検討されます。

看護のポイント

腰椎椎間板ヘルニアの看護では、まず疼痛管理が重要です。患者さんの痛みの程度、性質、部位、増悪・寛解因子を詳細にアセスメントし、医師の指示に基づく鎮痛剤の適切な使用を促します。また、安静の保持や体位変換の援助、疼痛緩和のためのポジショニング(膝を立てるなど)を工夫します。安静臥床中は、褥瘡予防や深部静脈血栓症予防のためのケアも必要です。ADL(日常生活動作)の援助では、痛みを増強させないような動作方法を指導し、必要に応じて自助具の活用を検討します。患者教育としては、疾患の病態、治療の必要性、保存療法(安静、薬物療法、理学療法)の重要性を説明します。特に、日常生活での注意点として、正しい姿勢の保持、重い物を持つ際の注意(膝を曲げて腰を落とす)、長時間の同一体位の回避、適度な運動の継続、体重管理などを具体的に指導します。手術を受ける患者さんには、術前のオリエンテーション、術後の疼痛管理、早期離床の促し、リハビリテーションへの導入が重要です。精神的なサポートも忘れずに行い、不安やストレスの軽減に努めます。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、まず疼痛の部位、性質(鋭い、鈍い、しびれるなど)、強さ(NRSやVASスケールを使用)、放散の有無、増悪・寛解因子を詳細に聴取します。視診では、脊柱の湾曲異常(側弯など)、筋萎縮の有無を確認します。触診では、圧痛点や筋の緊張を評価します。神経学的診察として、下肢の感覚障害(触覚、痛覚など)、筋力低下(徒手筋力テスト)、深部腱反射(膝蓋腱反射、アキレス腱反射)の左右差や消失の有無を評価します。特に、下肢伸展挙上試験(SLRテスト)は、坐骨神経痛の有無を評価する上で重要です。陽性であれば、神経根の圧迫を示唆します。また、膀胱直腸障害の有無を確認するため、排尿・排便状況も聴取します。検査データとしては、MRIやCT画像で椎間板の突出部位、神経圧迫の程度、脊柱管狭窄の有無を確認します。X線検査では、脊椎の配列や骨棘形成の有無などを評価します。これらの情報を総合的に判断し、患者さんの状態を把握します。

関連する看護診断

1. 慢性疼痛(関連要因: 神経根圧迫による炎症と刺激) 2. 活動耐性低下(関連要因: 疼痛による運動制限と筋力低下) 3. 身体可動性障害(関連要因: 疼痛と神経症状による運動機能の制限) 4. 知識不足(関連要因: 疾患、治療、セルフケアに関する情報不足) 5. 不安(関連要因: 疼痛、ADL制限、治療への懸念、予後への不確実性)

看護計画の要約

OP (観察計画): 疼痛の部位、性質、強さ、放散の有無、増悪・寛解因子を継続的に観察する。神経学的症状(しびれ、筋力低下、感覚障害、膀胱直腸障害)の有無と程度を評価する。ADLの状況と制限を観察する。安静臥床中の場合は、皮膚の状態、深部静脈血栓症の兆候を観察する。薬物療法の効果と副作用を観察する。患者の不安の程度や表情、言動を観察する。TP (援助計画): 医師の指示に基づき、鎮痛剤を適切に投与し、効果を評価する。疼痛緩和のためのポジショニングや体位変換を援助する。安静の保持を促し、必要に応じてコルセットなどの装具の使用を指導する。ADLの援助を行い、痛みを増強させない動作方法を指導する。リハビリテーションプログラムへの参加を促し、運動療法を支援する。術前・術後のケア(オリエンテーション、疼痛管理、早期離床、リハビリテーション)を計画的に実施する。EP (教育計画): 疾患の病態、治療の目的と内容、保存療法の重要性について説明する。日常生活における正しい姿勢、動作方法、重い物を持つ際の注意点などを具体的に指導する。適度な運動の継続、体重管理の重要性を説明する。薬物療法の正しい使用方法と副作用について説明する。症状の悪化時や異常時の受診の目安を指導する。不安軽減のため、傾聴し、質問に丁寧に答える。