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🫃消化器

肝硬変

かんこうへん

慢性的な肝障害により肝臓が線維化・硬化する疾患

肝硬変看護腹水肝性脳症

疾患の概要

肝硬変は、肝臓が持続的な炎症や損傷により線維化し、正常な肝細胞が減少し、肝臓全体が硬く、機能が低下する慢性進行性の疾患です。病態生理としては、肝細胞の壊死と再生、線維組織の増殖が繰り返され、肝臓の構造が歪み、門脈圧亢進症や肝不全を引き起こします。主な原因は、B型・C型肝炎ウイルス感染、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などです。初期は無症状のことが多いですが、進行すると倦怠感、食欲不振、黄疸、腹水、浮腫、肝性脳症、出血傾向(食道静脈瘤破裂など)といった症状が現れます。検査では、血液検査(肝機能、凝固能、血小板数など)、腹部超音波検査、CT、MRI、肝生検が行われます。治療は、原因疾患の治療(抗ウイルス薬、禁酒など)、合併症の管理(利尿薬、ラクツロース、輸血など)、栄養療法が中心となります。末期には肝移植が検討されます。

看護のポイント

肝硬変患者の看護では、合併症の早期発見と症状緩和が重要です。観察項目としては、バイタルサイン(特に血圧、脈拍)、意識レベル、黄疸の有無と程度、腹部膨満感、浮腫の有無と程度、尿量、便の性状(タール便の有無)、出血傾向(歯肉出血、皮下出血など)を注意深く観察します。肝性脳症の兆候として、羽ばたき振戦、言動の変化、傾眠傾向にも注意が必要です。ケアの実際では、腹水や浮腫に対する安楽な体位の保持、皮膚トラブル予防のためのスキンケア、栄養状態の維持のための食事指導(塩分・タンパク質制限など)、便秘予防、転倒予防が挙げられます。患者教育では、疾患の進行を遅らせるための禁酒、規則正しい生活、処方薬の正しい服用、食事療法(特に塩分制限、適切なタンパク質摂取)、感染予防の重要性を指導します。また、症状悪化時の受診の目安を具体的に伝えます。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、全身状態の観察が不可欠です。皮膚・粘膜の黄染、クモ状血管腫、手掌紅斑の有無、腹部膨満(腹水の有無、腹囲測定)、下肢浮腫の有無と程度、意識レベル(JCS、GCS)、羽ばたき振戦の有無を確認します。肝臓の触診では、腫大や硬結の有無を評価します。検査データでは、肝機能検査(AST、ALT、ALP、γ-GTP、ビリルビン)、血清アルブミン値、プロトロンビン時間(PT-INR)、血小板数、アンモニア値、電解質、腎機能(BUN、Cr)を重点的に確認します。これらのデータから、肝機能の低下度、門脈圧亢進症の程度、凝固能異常、肝性脳症の進行度、腎機能障害の有無をアセスメントし、病態の全体像を把握します。

関連する看護診断

[体液量過剰] 門脈圧亢進とアルブミン低下による腹水・浮腫の形成に関連した体液量過剰。 [栄養摂取量不足] 食欲不振、消化吸収障害、食事制限に関連した栄養摂取量不足。 [活動耐性低下] 倦怠感、貧血、腹水による呼吸困難に関連した活動耐性低下。 [思考過程障害] 高アンモニア血症による脳機能障害に関連した思考過程障害。 [出血の危険性] 凝固因子産生能低下、血小板減少、食道静脈瘤形成に関連した出血の危険性。

看護計画の要約

OP: バイタルサイン、意識レベル、黄疸、腹囲、浮腫、尿量、便の性状、出血傾向、倦怠感、食欲不振の有無と程度を観察。血液検査データ(肝機能、凝固能、アンモニアなど)のモニタリング。TP: 腹水・浮腫に対する安楽な体位調整、スキンケア。食事療法(塩分・タンパク質制限、低脂肪食)の実施と介助。便秘予防のための排便コントロール。肝性脳症の症状出現時は医師への報告と指示に基づく対応。出血傾向時は止血処置の準備。感染予防策の実施。EP: 疾患の進行、合併症、治療の必要性について説明。禁酒の重要性、規則正しい生活、処方薬の正しい服用方法、食事療法の具体的方法(塩分制限、適切なタンパク質摂取量、食品選択)を指導。症状悪化時の受診の目安(黄疸の増悪、意識障害、タール便、吐血など)を具体的に説明。感染予防(手洗い、うがい、予防接種)の指導。