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🫃消化器

肝臓がん

かんぞうがん

肝臓に発生する悪性腫瘍で、肝硬変からの進行が多い

肝臓がん看護肝硬変手術

疾患の概要

肝臓がんは、肝臓に発生する悪性腫瘍で、原発性肝がん(肝臓そのものから発生)と転移性肝がん(他の臓器から転移)に大別されます。日本では、原発性肝がんの約9割が肝細胞がんであり、その多くは慢性肝炎や肝硬変を背景に発症します。主な原因はB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス感染、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)です。初期には自覚症状がほとんどなく、進行すると倦怠感、食欲不振、腹部膨満感、黄疸、腹水、浮腫、発熱、体重減少などが出現します。肝硬変を合併している場合は、肝機能低下による症状が先行することもあります。診断には、血液検査(肝機能マーカー、腫瘍マーカー:AFP、PIVKA-II)、画像検査(超音波検査、CT、MRI)、肝生検が用いられます。治療法は、がんの進行度、肝機能、全身状態によって異なり、外科的切除、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、放射線治療、肝移植などがあります。治療の選択肢が多岐にわたるため、患者さんの状態に合わせた個別的な治療計画が重要です。

看護のポイント

肝臓がん患者の看護では、症状の緩和とQOLの維持が重要です。倦怠感、食欲不振、疼痛、黄疸、腹水、浮腫などの症状を継続的に観察し、適切な対症療法が受けられるよう医師と連携します。特に疼痛管理は重要で、患者さんの訴えを傾聴し、鎮痛薬の効果や副作用を評価します。栄養状態の悪化を防ぐため、少量頻回食の提案や、消化の良い食事の工夫、栄養補助食品の活用を促します。腹水や浮腫に対しては、体重測定、腹囲測定、浮腫の有無の確認を行い、利尿薬の効果や副作用を観察します。また、肝機能低下による出血傾向や肝性脳症のリスクにも注意し、皮膚・粘膜の観察、意識レベルの変化をモニタリングします。患者教育では、疾患の進行状況や治療法の選択肢、副作用について理解を深め、自己管理能力を高める支援を行います。肝硬変合併患者には、肝性脳症の誘因となる便秘の予防や、高アンモニア血症を悪化させない食事指導も重要です。精神的なサポートも不可欠であり、不安や抑うつに対する傾聴、情報提供、必要に応じて精神科医やソーシャルワーカーへの連携を行います。終末期においては、緩和ケアを積極的に導入し、患者さんと家族が穏やかに過ごせるよう支援します。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、まず全身状態の観察を行います。意識レベル、顔色、皮膚・眼球結膜の黄染の有無、浮腫(特に下肢、仙骨部)、腹部膨満(腹水)、肝脾腫の有無、圧痛、クモ状血管腫、手掌紅斑、出血傾向(皮下出血、歯肉出血)などを確認します。バイタルサイン(体温、脈拍、呼吸、血圧)の変動も重要です。特に発熱は感染症や腫瘍熱の可能性を示唆します。神経学的アセスメントとして、羽ばたき振戦の有無や意識レベルの変化(肝性脳症の徴候)を評価します。検査データでは、肝機能検査(AST、ALT、ALP、γ-GTP、総ビリルビン、直接ビリルビン)、腎機能検査(BUN、Cr)、凝固能(PT、APTT、INR)、血算(Hb、Plt)、電解質、血糖値、血清アルブミン値、アンモニア値、腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-II)を重点的に確認します。これらのデータから、肝機能の障害度、栄養状態、出血傾向、肝性脳症のリスク、がんの活動性などを総合的に判断します。画像検査の結果(CT、MRI、超音波)も参照し、腫瘍の大きさ、数、部位、血管浸潤の有無、リンパ節転移、遠隔転移の有無を把握します。

関連する看護診断

1. 慢性疼痛: 肝腫瘍の増大や治療に関連する疼痛があるため。 2. 栄養摂取量変化: 必要量以下: 食欲不振、消化吸収障害、悪心・嘔吐、代謝亢進のため。 3. 体液量過剰: 肝機能低下によるアルブミン合成能低下、門脈圧亢進、腎血流低下のため。 4. 身体活動能力障害: 倦怠感、疼痛、腹水による呼吸困難、全身衰弱のため。 5. 不安: 疾患の進行、予後、治療の選択、身体症状、経済的問題などへの懸念のため。

看護計画の要約

OP: 疼痛の部位、性質、強度(NRS)、持続時間、増悪・緩和因子、鎮痛薬の効果と副作用を観察する。食欲、食事摂取量、悪心・嘔吐の有無、体重、腹囲、浮腫の有無、尿量、呼吸状態、意識レベル、皮膚・粘膜の出血傾向、黄疸の有無、バイタルサイン、検査データ(肝機能、腎機能、電解質、凝固能、アルブミン、アンモニア、腫瘍マーカー)を継続的に観察する。TP: 疼痛コントロールのため、医師の指示に基づき鎮痛薬を適切に投与し、効果を評価する。体位変換や温罨法など非薬物療法も併用する。栄養状態維持のため、少量頻回食の提案、消化の良い食事の工夫、栄養補助食品の活用を促す。腹水・浮腫管理のため、体重測定、腹囲測定、浮腫の観察を行い、利尿薬の効果を評価する。安静を促し、安楽な体位を調整する。出血傾向に注意し、採血後の圧迫止血、口腔ケア時の注意喚起を行う。肝性脳症予防のため、便秘予防に努め、必要に応じて緩下剤を投与する。EP: 疾患の病態、治療の目的と副作用、予後について患者・家族が理解できるよう説明する。疼痛コントロールの方法(薬物療法、非薬物療法)について指導する。栄養摂取の工夫、腹水・浮腫の自己管理(体重・腹囲測定)、便秘予防、出血傾向への注意点について指導する。倦怠感や疲労感との付き合い方、活動と休息のバランスについて助言する。精神的サポートとして、不安や抑うつに対する傾聴、情報提供、必要に応じて専門機関への紹介を行う。社会資源の活用について情報提供する。