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🫃消化器

イレウス(腸閉塞)

いれうす

腸管の通過障害により腹痛・嘔吐を起こす緊急疾患

イレウス腸閉塞看護腹痛

疾患の概要

イレウス(腸閉塞)は、腸管内容物の通過が物理的または機能的に障害される病態です。病態生理としては、腸管の通過障害により、閉塞部位より口側に腸内容物が貯留し、腸管の拡張、内圧上昇、循環障害を引き起こします。これにより、腸管壁からの水分・電解質漏出、細菌の異常増殖、腹膜炎、さらには敗血症に至る可能性があります。原因は大きく分けて機械的イレウスと機能的イレウスがあります。機械的イレウスは、腸管の物理的な閉塞で、術後の癒着、腫瘍、ヘルニア嵌頓、腸重積、絞扼性イレウス(血流障害を伴うもの)などが挙げられます。機能的イレウスは、腸管の蠕動運動が麻痺することで内容物が停滞するもので、術後イレウス、腹膜炎、電解質異常(特に低カリウム血症)、薬剤(麻薬など)などが原因となります。主な症状は、腹痛(間欠的または持続的)、腹部膨満、嘔気・嘔吐、排便・排ガスの停止です。絞扼性イレウスでは、激しい持続性の腹痛、発熱、血圧低下などショック症状を呈することがあり、緊急手術が必要です。検査は、身体診察(腹部聴診で腸蠕動音の減弱・消失、金属音の聴取、圧痛の確認)、腹部X線検査(拡張した腸管、ニボー形成)、腹部CT検査(閉塞部位、原因、絞扼の有無の特定)、血液検査(炎症反応、電解質、脱水、腎機能の評価)などが行われます。治療は、絶飲食、胃管挿入による減圧、輸液による電解質補正と脱水改善が基本です。機械的イレウスでは、原因に応じた手術(癒着剥離、腫瘍切除、ヘルニア整復など)が検討されます。機能的イレウスでは、原因疾患の治療や腸管蠕動運動を促進する薬剤の投与が行われます。

看護のポイント

イレウス患者の看護では、まず全身状態の観察が重要です。バイタルサイン(特に発熱、頻脈、血圧低下は絞扼性イレウスや腹膜炎の兆候の可能性)、意識レベル、皮膚の色調・湿潤状態を注意深く観察します。腹部症状の観察として、腹痛の部位、性状、強さ、持続時間、腹部膨満の程度、腹部の圧痛・反跳痛の有無、腸蠕動音の聴取を行います。嘔吐の回数、量、性状(胆汁性、糞便様など)も確認します。排便・排ガスの有無と最終排便日も把握します。ケアの実際としては、絶飲食の徹底と、それに伴う口腔ケアの実施が不可欠です。胃管が挿入されている場合は、胃管の固定、開放性の維持、吸引量の観察、皮膚トラブルの予防を行います。輸液管理では、指示通りの輸液が実施されているか、点滴ルートの閉塞や漏れがないか確認し、IN-OUTバランスを正確に記録します。患者教育としては、絶飲食の必要性とその理由、胃管の役割、治療の目的を分かりやすく説明し、不安の軽減を図ります。また、排便・排ガスがあった場合はすぐに報告するよう指導します。退院後の生活指導では、再発予防のための食事内容(消化の良いものから少量ずつ、繊維質の摂取タイミングなど)、規則正しい排便習慣の重要性を伝えます。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、視診で腹部膨満の有無と程度、手術痕の確認を行います。聴診では腸蠕動音の頻度、性状(金属音の有無、消失の有無)を評価します。打診では鼓音の範囲と程度を確認し、触診では腹部の圧痛、反跳痛、筋性防御の有無、腫瘤の有無を評価します。特に絞扼性イレウスでは、限局性の圧痛や反跳痛に注意が必要です。検査データでは、血液検査で炎症反応(WBC、CRP)の上昇、脱水(Ht、BUN、Creの上昇)、電解質異常(特にKの低下)、腎機能障害の有無を確認します。絞扼性イレウスでは、アシドーシスや乳酸値の上昇が見られることがあります。腹部X線検査では、拡張した腸管のループやニボー形成の有無と程度、ガスの分布を確認します。腹部CT検査では、閉塞部位、原因(腫瘍、癒着、ヘルニアなど)、腸管壁の浮腫や肥厚、遊離ガスの有無、腹水の貯留、絞扼の有無(血流低下の徴候)を詳細に評価します。これらの所見を総合的に判断し、イレウスのタイプ(機械的か機能的か)、重症度、絞扼の有無をアセスメントします。

関連する看護診断

1. 腸管内容物通過障害に関連する急性疼痛: 腸管の拡張と蠕動亢進による腹痛。 2. 腸管蠕動運動の低下または消失に関連する排便・排ガス障害: 腸管内容物の停滞。 3. 嘔吐、胃管吸引、絶飲食に関連する栄養摂取量不足: 経口摂取ができない状態。 4. 嘔吐、胃管吸引、サードスペースへの体液喪失に関連する体液量減少のリスク: 脱水や電解質異常の可能性。 5. 疾患、治療過程、予後に関する知識不足に関連する不安: 病態や治療への理解不足。

看護計画の要約

OP: 腹痛の部位、性状、強さ、持続時間の観察。腹部膨満の程度、腸蠕動音、圧痛・反跳痛の有無。嘔吐の回数、量、性状。排便・排ガスの有無と最終排便日。バイタルサイン、意識レベル、皮膚状態。IN-OUTバランス、尿量。血液検査データ(WBC、CRP、電解質、腎機能)。胃管吸引量、性状。TP: 医師の指示に基づき絶飲食を遵守。胃管の開放性維持、吸引圧の調整、吸引物の観察。指示された輸液の確実な実施、点滴ルートの管理。疼痛コントロールのための鎮痛剤投与と効果の評価。安静保持と安楽な体位の工夫。口腔ケアの実施。必要に応じて体位変換やマッサージによる排ガス促進。EP: 絶飲食の必要性と理由、胃管の役割、治療の目的を説明し、不安の軽減を図る。排便・排ガスがあった場合は速やかに報告するよう指導。退院後の食事内容(消化の良いものから少量ずつ、繊維質の摂取タイミング)、規則正しい排便習慣の重要性を指導。再発予防のための生活指導。