疾患一覧に戻る
🧒小児科

熱性けいれん

ねっせいけいれん

発熱に伴い乳幼児に起こるけいれん発作

熱性けいれん看護小児発熱

疾患の概要

熱性けいれんは、乳幼児期(生後6ヶ月から5歳頃)に最も多く見られる、発熱に伴って起こるけいれんです。通常、38℃以上の急激な体温上昇時に発生し、脳に器質的な異常がないことが特徴です。病態生理としては、未熟な脳が急激な体温上昇に刺激され、神経細胞の過剰な興奮が引き起こされると考えられています。原因はウイルス感染による発熱が最も多く、特に突発性発疹やインフルエンザなどが挙げられます。遺伝的素因も関与すると言われています。主な症状は、意識の消失、全身の硬直(強直性けいれん)に続き、手足のガクガクとした動き(間代性けいれん)が数分間(通常5分以内)続くことが多いです。多くの場合、けいれん後は眠り込んだり、ぼんやりしたりしますが、意識は回復します。検査は、初回発作時や非典型的な発作の場合に、髄膜炎などの鑑別のために血液検査や髄液検査、脳波検査が行われることがあります。しかし、典型的な熱性けいれんの場合、通常は特別な検査は不要で、診断は臨床症状に基づいて行われます。治療は、けいれん中の安全確保が最優先です。けいれんが5分以上続く場合や繰り返す場合は、ジアゼパムなどの抗けいれん薬が使用されることがあります。発熱に対しては解熱剤が用いられますが、けいれん予防効果は限定的です。ほとんどの場合、予後は良好で、後遺症を残すことは稀です。

看護のポイント

熱性けいれんの看護では、まずけいれん中の安全確保が最も重要です。周囲の危険物を除去し、衣服を緩め、嘔吐物による窒息を防ぐために顔を横に向けます。けいれんの持続時間、けいれんの様子(全身性か部分性か、左右差の有無)、意識レベル、呼吸状態、顔色などを詳細に観察し、医療者に正確に伝達できるよう記録します。けいれん停止後は、呼吸状態や意識レベルの回復を注意深く観察し、体温管理を行います。患者家族への精神的サポートも不可欠です。突然のけいれんは家族に大きな不安や動揺を与えるため、落ち着いて対応できるよう具体的な対処法を指導し、不安の軽減に努めます。再発予防のための指導としては、発熱時の早期発見と適切な体温管理、けいれん時の具体的な対処法(衣服を緩める、横向きにする、時間を計るなど)、けいれんが5分以上続く場合の対応(救急要請など)を繰り返し説明します。また、医師の指示があれば、発熱時に使用する坐薬(ダイアップ坐薬など)の使用方法についても指導します。けいれん後の状態(意識レベル、活気、食欲など)も継続的に観察し、異常の早期発見に努めます。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、けいれん中のバイタルサイン(特に呼吸数、脈拍、顔色)、けいれんの様式(全身性か部分性か、左右差、強直性・間代性の有無)、持続時間、けいれん後の意識レベル(JCSやGCS)、瞳孔の状態、筋緊張、皮膚色、発汗の有無などを詳細に観察します。特に呼吸状態と循環動態は最優先で評価し、異常があれば速やかに対応します。発熱の原因となる感染徴候(咽頭発赤、鼻汁、咳、発疹など)も確認します。けいれん後の神経学的所見として、活気、泣き方、哺乳力、傾眠傾向の有無なども評価します。検査データとしては、発熱の原因検索のための血液検査(白血球数、CRPなど炎症反応)、尿検査、必要に応じて髄液検査の結果を確認します。特に髄膜炎の鑑別が重要となるため、髄液検査データ(細胞数、蛋白、糖)は注意深く評価します。脳波検査が実施された場合は、てんかんの鑑別や脳の基礎疾患の有無を確認します。これらの情報を総合的に判断し、熱性けいれんの診断を確定し、適切な看護計画を立案します。

関連する看護診断

1. けいれん発作に関連した外傷の危険性: けいれん中の不随意な身体の動きにより、周囲の物や床にぶつかることで外傷を負う可能性があるため。 2. 急性発熱に関連した体温調節障害の危険性: 急激な体温上昇がけいれんを引き起こす主要因であり、体温管理が不十分だと再発のリスクが高まるため。 3. けいれん発作に関連した不安: 突然のけいれん発作は患児本人だけでなく、保護者にも強い不安や恐怖を引き起こすため。 4. けいれん発作に関連した窒息の危険性: けいれん中に舌根沈下や嘔吐物による気道閉塞が起こる可能性があるため。 5. 疾患の知識不足に関連したセルフケア能力の不足: 保護者が熱性けいれんの知識や対処法を十分に理解していない場合、適切な対応ができないため。

看護計画の要約

OP: けいれんの有無、持続時間、様式、けいれん後の意識レベル、呼吸状態、バイタルサイン、発熱の程度と経過、感染徴候、保護者の不安の程度を観察する。けいれん時の具体的な状況(時間、場所、周囲の状況)を聴取する。TP: けいれん発作時は、安全を確保し、窒息予防のために顔を横に向け、衣服を緩める。けいれんの様子と時間を正確に記録する。けいれん停止後は、呼吸状態と意識レベルを継続的に観察し、必要に応じて体温管理を行う。医師の指示に基づき、抗けいれん薬の準備や投与を行う。保護者に対し、落ち着いて対応できるよう具体的な指示と精神的サポートを提供する。EP: 保護者に対し、熱性けいれんの病態、予後、けいれん時の具体的な対処法(安全確保、窒息予防、時間計測、医療機関受診の目安)について分かりやすく説明する。発熱時の適切な体温管理や、必要に応じてダイアップ坐薬の使用方法を指導する。再発時の不安軽減のため、相談窓口や連絡先を伝える。後遺症が残ることは稀であることを伝え、過度な心配を軽減するよう努める。