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⚗️内分泌・代謝

糖尿病性ケトアシドーシス

とうにょうびょうせいけとあしどーしす

重度のインスリン不足によりケトン体が蓄積する緊急状態

DKA看護糖尿病緊急

疾患の概要

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、インスリン作用の著しい不足により、高血糖、代謝性アシドーシス、ケトーシスを特徴とする急性合併症です。病態生理としては、インスリンが不足すると、細胞がブドウ糖を利用できなくなり、肝臓でのブドウ糖産生が亢進し、高血糖を来します。同時に、脂肪組織では脂肪分解が促進され、遊離脂肪酸が増加します。この遊離脂肪酸が肝臓でケトン体へと代謝され、血液中に蓄積することでケトーシスと代謝性アシドーシスを引き起こします。主な原因は、1型糖尿病患者におけるインスリン治療の中断や不足、感染症、外傷、手術、心筋梗塞、脳卒中などの急性ストレス、特定の薬剤(ステロイドなど)の使用です。症状は、著しい口渇、多飲、多尿、全身倦怠感、体重減少、悪心・嘔吐、腹痛などが初期に見られます。アシドーシスが進行すると、クスマウル呼吸(深く速い呼吸)、意識障害(傾眠から昏睡まで)、アセトン臭(甘酸っぱい果物のような臭い)が出現します。検査では、血糖値(通常250mg/dL以上)、動脈血ガス分析(pH低下、HCO3-低下)、尿中・血中ケトン体陽性、電解質異常(特にカリウム)、血中浸透圧の上昇などが確認されます。治療の基本は、輸液による脱水の補正、インスリン持続静注による血糖降下とケトン体産生の抑制、電解質補正(特にカリウム)、アシドーシスの補正(重症時のみ重炭酸ナトリウム投与を検討)です。原因疾患の特定と治療も重要となります。

看護のポイント

DKAの看護では、患者の生命維持と合併症予防が最優先されます。観察項目としては、バイタルサイン(特に呼吸数、血圧、脈拍、体温)、意識レベル(JCS、GCS)、尿量と尿の性状(ケトン体、糖)、血糖値の頻回な測定、動脈血ガス分析結果、電解質データ(特にK+)、心電図モニタリング(電解質異常による不整脈リスク)、皮膚粘膜の乾燥状態、口渇の訴え、悪心・嘔吐・腹痛の有無と程度、呼吸パターン(クスマウル呼吸の有無、アセトン臭の有無)が挙げられます。ケアの実際では、医師の指示に基づく輸液管理とインスリン持続静注の確実な実施、電解質補正(特にカリウムは低カリウム血症に注意し、補充速度を管理)、低血糖への注意と血糖値に応じたブドウ糖液の開始、口腔ケアによる口渇の緩和、体位変換や皮膚保護による褥瘡予防、感染予防策の実施が重要です。意識レベル低下時には誤嚥防止のための体位調整や吸引も必要となります。患者教育としては、DKAの症状と早期発見の重要性、シックデイ時の対応(インスリン量の調整、水分摂取、医療機関への連絡)、血糖自己測定の重要性、適切なインスリン注射手技、食事・運動療法、感染予防などが含まれます。退院後も継続的な自己管理ができるよう支援します。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、まず意識レベルの確認が重要です。傾眠、昏睡の有無を評価します。呼吸状態は、クスマウル呼吸の有無、呼吸の深さと速さ、アセトン臭の有無を確認します。循環状態では、頻脈、低血圧、末梢冷感、毛細血管再充満時間の延長など、脱水による循環不全の兆候を観察します。皮膚・粘膜は、乾燥の程度、皮膚のツルゴール低下を確認します。腹部は、悪心、嘔吐、腹痛の有無と程度を評価します。神経学的アセスメントでは、瞳孔の状態や対光反射も確認し、脳浮腫の兆候がないか注意します。検査データのアセスメントでは、血糖値(通常250mg/dL以上)、動脈血ガス分析(pH 7.3未満、HCO3- 18mEq/L未満、PCO2低下)、尿中・血中ケトン体陽性、血清浸透圧の上昇、電解質異常(特にK+は初期に高値でも、治療により急激に低下するリスクがあるため注意)、BUN・Crの上昇(脱水による腎前性急性腎不全)などを総合的に評価し、DKAの重症度と治療効果を判断します。

関連する看護診断

1. 体液量減少のリスク:高血糖による浸透圧利尿と悪心・嘔吐による水分摂取不足のため。 2. 不均衡な栄養:必要量以下のリスク:インスリン不足による細胞のブドウ糖利用障害と悪心・嘔吐のため。 3. 活動耐性低下:全身倦怠感、脱水、アシドーシスによる組織の酸素供給不足のため。 4. 思考過程障害:アシドーシス、電解質異常、脱水による脳機能への影響のため。 5. 知識不足:疾患管理、シックデイ時の対応、インスリン療法について。

看護計画の要約

OP(観察計画):バイタルサイン(特に呼吸数、血圧、脈拍、体温)、意識レベル、尿量・尿の性状、血糖値、動脈血ガス分析結果、電解質データ(K+)、心電図、皮膚粘膜の状態、口渇、悪心・嘔吐・腹痛の有無と程度、呼吸パターン(クスマウル呼吸、アセトン臭)を継続的に観察する。TP(治療計画):医師の指示に基づく輸液管理とインスリン持続静注の確実な実施、電解質補正(K+補充の管理)、低血糖への注意とブドウ糖液の開始、口腔ケア、体位変換・皮膚保護、感染予防策の実施、意識レベル低下時の誤嚥防止ケア。EP(教育計画):DKAの症状と早期発見の重要性、シックデイ時の対応(インスリン量調整、水分摂取、医療機関への連絡)、血糖自己測定の重要性、適切なインスリン注射手技、食事・運動療法、感染予防について患者と家族に指導する。退院後の自己管理能力を高めるための支援を行う。