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🧒小児科

細気管支炎

さいきかんしえん

RSウイルスなどによる乳児の下気道感染症

細気管支炎看護RSウイルス乳児

疾患の概要

細気管支炎は、主に乳幼児に発生する下気道感染症で、気管支の末梢部分である細気管支が炎症を起こし、浮腫や分泌物の増加により狭窄・閉塞する病態です。原因のほとんどはウイルス感染で、特にRSウイルスが最も一般的ですが、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなども原因となります。ウイルスは鼻咽頭から侵入し、気道上皮細胞に感染・増殖することで炎症反応を引き起こします。主な症状は、鼻水、咳、微熱といった上気道炎症状から始まり、数日後には喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)、多呼吸、陥没呼吸、努力呼吸などの呼吸困難症状が出現します。重症化するとチアノーゼや無呼吸発作を起こすこともあります。診断は、特徴的な臨床症状と身体所見(聴診での喘鳴や捻髪音)に基づいて行われます。ウイルス抗原迅速検査で原因ウイルスを特定することもあります。治療は対症療法が中心で、酸素療法、輸液による水分補給、去痰薬の使用、吸入療法(生理食塩水や気管支拡張薬)などが行われます。抗菌薬はウイルス感染には効果がないため、細菌の二次感染が疑われる場合にのみ使用されます。重症例では人工呼吸器管理が必要となることもあります。多くは1~2週間で回復しますが、乳幼児では重症化しやすく、特に生後6ヶ月未満の児や基礎疾患を持つ児は注意が必要です。

看護のポイント

細気管支炎の看護では、呼吸状態の観察と呼吸困難の緩和が最優先です。呼吸数、呼吸様式(陥没呼吸の有無、鼻翼呼吸)、チアノーゼの有無、喘鳴の程度、SpO2値を継続的に観察し、変化があれば速やかに医師に報告します。体位変換や吸引により気道クリアランスを保ち、加湿された酸素を投与して呼吸を楽にします。経口摂取が困難な場合は、脱水予防のため補液管理が重要です。発熱時にはクーリングを行い、体温調節を助けます。患児は不安が強いため、抱っこや声かけで安心できる環境を提供します。また、感染拡大を防ぐため、手洗いやマスク着用などの標準予防策を徹底し、必要に応じて接触感染予防策を実施します。家族に対しては、疾患の経過や治療内容、家庭でのケア方法(水分補給、加湿、休息の重要性、悪化時のサイン)について分かりやすく説明し、不安の軽減に努めます。退院後も症状がぶり返すことがあるため、注意深く観察するよう指導します。

アセスメントのポイント

フィジカルアセスメントでは、まず視診で呼吸状態を評価します。呼吸数、呼吸様式(陥没呼吸、鼻翼呼吸、シーソー呼吸の有無)、チアノーゼの有無、顔色、活気、意識レベルを確認します。聴診では、両肺野の喘鳴、捻髪音、呼吸音の減弱の有無と程度を評価します。触診では、呼吸運動に伴う胸郭の動きや、心拍数、皮膚温、末梢循環(CRT)を確認します。打診は通常あまり行われません。検査データとしては、SpO2値のモニタリングが最も重要です。動脈血ガス分析は重症例で呼吸不全の程度を評価するために行われます。胸部X線検査では、肺の過膨張や浸潤影の有無を確認し、肺炎との鑑別や重症度評価に役立てます。ウイルス抗原迅速検査は、原因ウイルスの特定に用いられます。血液検査では、炎症反応(CRP、白血球数)や脱水の有無(電解質、BUN、Cre)を確認します。これらの情報を総合的に判断し、患児の呼吸状態、全身状態、重症度をアセスメントします。

関連する看護診断

1. ガス交換障害のリスク状態:細気管支の炎症と分泌物による気道狭窄のため。 2. 非効果的気道浄化:気道分泌物の増加と喀出困難のため。 3. 栄養摂取量不足:呼吸困難による経口摂取困難と代謝亢進のため。 4. 体液量不足のリスク状態:発熱、多呼吸による不感蒸泄増加と経口摂取困難のため。 5. 家族の対処能力障害:患児の呼吸困難と予後への不安のため。

看護計画の要約

OP: 呼吸数、呼吸様式、喘鳴の有無・程度、SpO2、チアノーゼの有無、心拍数、体温、活気、意識レベル、経口摂取量、尿量、皮膚・粘膜の乾燥状態を継続的に観察する。検査データ(SpO2、動脈血ガス、胸部X線、血液検査)を確認する。 TP: 酸素療法(加湿下)、体位ドレナージ、吸引、吸入療法(医師の指示に基づく)、輸液管理、解熱・鎮痛、環境整備(加湿、室温調整)、感染予防策の実施。 EP: 家族に対し、疾患の病態、治療の目的、家庭での観察項目(悪化時のサイン)、水分補給の重要性、感染予防策について説明する。退院後の生活指導(受診の目安、安静の保持、加湿など)を行う。患児の不安軽減のため、抱っこや声かけで安心できる環境を提供する。家族の精神的サポートを行う。